大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

徳島家庭裁判所 昭和49年(少ハ)1号 決定 1974年4月01日

少年 D・O(昭三二・三・二八生)

主文

当裁判所が昭和四九年二月一三日少年に対しなした保護観察処分を取消す。

理由

少年は昭和四九年二月一三日徳島家庭裁判所において道路交通法違反保護事件(当庁昭和四九年(少)第五〇八九号)によつて保護観察処分に付され、現在保護観察中である。

ところで、当裁判所の審判の結果、当裁判所調査官の調査報告書、当庁昭和四九年(少)第五二五一号事件記録中の審判調書および当裁判所調査官の調査報告書、本記録同綴の当庁昭和四九年(少)第五〇八九号審判調書によれば、前記道路交通法違反の事件は少年の友人Aがした(但し、同人は免許を持つているので速度違反のみ)ものであつたが、同人はその場は警察官の制止にもかかわらず逃走し、帰宅したところ、警察官から翌日警察署まで出頭するようにとの電話連絡があつたことを聞き、右違反が警察にわかると以前にも違反をしており、免許停止の処分になるのではないかと心配になり、同日少年ほか一名に相談したところ、少年の申出もあり、少年が同人の身代りとして警察署に出頭する旨の話がまとまつたこと、少年は翌日同人と一緒に警察署へ出頭し、少年が同人の自動二輪車を借りて運転したと届け出たこと、少年は審判期日にも自ら出頭し、前記違反をした旨述べたこと、しかし少年は保護観察処分を受け、同処分の重大さを認識し、かつ現在休学中の高校へ復学の希望を持つているところ、同処分継続中では復学が困難であることを知つた等の事情から同処分の取消しを強く希望するようになつたことが認められる。以上認定の事実からすれば、少年は前記道路交通法違反をしていないことが認められる。

そうすると、上記保護処分決定は裁判所が少年に対し審判権がないのになしたものであるから、少年法第二七条の二第一項により主文のとおり決定する。

(裁判官 横田勝年)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例